ITパスポート試験とは?

ITを活用するすべての社会人、そしてこれから社会に出る学生にとって、ITの基礎知識を証明できる国家試験が「ITパスポート」です。

近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中で、ITパスポートの重要性はますます高まっています。その影響もあり、受験者数は年々増加。令和5年には年間応募者数が30万人に迫るなど、今や多くの人に選ばれる人気試験となっています。

また、企業の間でも、社員のITスキル向上を目的にITパスポートの取得を推奨する動きが広がっています。単なるIT知識の証明にとどまらず、社会で活躍するための武器として注目されている試験なのです。

ITパスポート試験概要

受験時期

通年受験

受験会場

全国
こちらから確認いただけます。

試験時間

120分

出題数

全100問
ストラテジ系(経営全般):35問程度
マネジメント系(IT管理):20問程度
テクノロジ系(IT技術):45問程度

試験方式

CBT(Computer Based Testing)方式※1

採点方式

IRT(Item Response Theory:項目応答理論)

合格基準※

総合評価点:600点以上(1,000点満点)

分野別評価点

ストラテジ系(経営全般):300点以上(1,000点満点)

マネジメント系(IT管理):300点以上(1,000点満点)

テクノロジ系(IT技術):300点以上(1,000点満点)

CBT(Computer Based Testing)方式

CBT(Computer Based Testing)方式とは、パソコンを使用して実施される試験方式のことを指します。従来の紙とペンを用いた試験(PBT: Paper Based Testing)とは異なり、受験者は試験センターのPCを使って問題を解答します。
ITパスポートの試験では、問題はランダムに出題され、受験者ごとに異なる問題が出題されます。
また試験後、試験結果が即表示され合否を確認することができます。

IRT(Item Response Theory) 方式

ITパスポートでは出題される問題が受験者によって異なる為、1問一点の計算ではなく、問題の難易度によって得点が変わるIRTを採点方式に取り入れています。
その為、必ずしも60問正解をすれば合格できるわけではありませんので、過去問に取り組むさいは、70%が取れるよう心掛けましょう。

ITパスポート試験範囲

ITパスポート試験の出題範囲は、「ストラテジ系(経営全般)」「マネジメント系(IT管理)」「テクノロジ系(IT技術)」の3つの大分類に分かれています。
特にテクノロジ系は試験の50%を占める
ため、ITの基本知識(ネットワーク・セキュリティ・データベース・アルゴリズム)を重点的に学習することが重要です。
ストラテジ系・マネジメント系もバランスよく学習し、3分野すべてで基準点(300点)を超えるように対策しましょう。

ITパスポート公式シラバスはこちらからご確認いただけます。

ストラテジ系(経営全般)

企業活動や経営戦略に関する内容が出題されます。ITパスポート試験の約35%を占める分野です。

企業と法務

企業活動(企業の組織形態、経営戦略、財務・会計、データ活用、CSR(企業の社会的責任))
法務 (知的財産権(特許・著作権・商標)、セキュリティ関連法規(個人情報保護法、不正アクセス禁止法)、労働・取引関連法(労働基準法、下請法)、情報倫理、標準化(ISOなど))

経営戦略 

経営戦略マネジメント:SWOT分析、ポーターの5フォース分析、PDCAサイクル、バリューチェーンなどの経営戦略手法を学ぶ。また、マーケティング(4P、3C、ブルーオーシャン戦略)、ビジネス戦略、KPI設定、ERP・SCM・CRMなどの経営管理システムについても理解する。

技術戦略マネジメント:技術開発戦略の立案・計画、技術ロードマップの策定、研究開発の推進に関する知識を学ぶ。

ビジネスインダストリ:ビジネスシステム(POS、電子商取引)、エンジニアリングシステム(CAD、CAM)、e-ビジネス、IoTシステム・組込みシステムの役割と活用を理解する。

システム戦略

システム戦略:情報システムの導入計画やIT戦略の立案、業務プロセスの可視化・最適化、ITソリューションの活用、システム導入後の評価を学ぶ。

システム企画:システム化計画の策定、要件定義、ITサービスの調達と契約管理について理解する。

ストラテジ分野 試験対策

ストラテジ分野はとにかく「暗記」です。そして、ITパスポートの3分野の中では最も点数が取りやすい分野でもあるので、ここでしっかりと得点を取ることが合格の道へと繋がります。
また、社会人経験がある方にとっては、マーケティングや企業活動など学習がしやすい分野でもあります。


経営分析の基本用語を覚える
「SWOT分析」「PDCAサイクル」「ポーターの5フォース」など、経営フレームワークの意味と活用方法を理解する。

マーケティング用語を押さえる
「4P」「3C」「ブルーオーシャン戦略」などのマーケティング戦略を具体例と一緒に覚える。

法律関連は頻出なので暗記する
「知的財産権」「個人情報保護法」「下請法」など、IT業界に関係する法律を理解する。

DXやデータ活用に関するトレンドを知る

AIやクラウド、ビッグデータなどの用語を知っておく。

マネジメント系(IT管理)

システム開発や運用管理に関する内容が出題されます。ITパスポート試験の約15%を占める分野です。

開発技術

システム開発技術:システム開発モデル(ウォーターフォール・アジャイル)、要件定義、開発プロセス、ソフトウェアの品質管理について学ぶ。

ソフトウェア開発管理技術:バージョン管理、変更管理、テスト手法、開発プロジェクトの品質保証について学ぶ。

プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメント:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)に基づくプロジェクトの計画、進捗管理、リスク管理、コスト管理、スコープ管理について学ぶ。

サービスマネジメント

サービスマネジメント:ITサービスの提供と管理(ITIL)、SLA(サービスレベル合意)、インシデント管理、問題管理、ITサービスの運用を学ぶ。

システム監査:内部統制、リスクマネジメント、情報システム監査の目的と手法について理解する。

マネジメント分野 試験対策

マネジメント分野の学習で重要なのが、文章を読み解く力です。また、コスト管理など、簡単な計算問題も出題されるので、公式を覚え点数の取りこぼしがないように学習しましょう。

システム開発手法の特徴を比較して覚える

ウォーターフォール開発(設計→開発→テストと順番に進める)

アジャイル開発(短いサイクルで開発を繰り返す)

プロジェクト管理の基本を理解する

PMBOKの「スコープ管理」「コスト管理」「リスク管理」を押さえる。

ガントチャートの読み方を練習する。

ITサービスマネジメントの役割を覚える

**ITIL(インシデント管理・問題管理・変更管理)**の違いを整理する。

**SLA(サービスレベル合意)**とは何かを理解する。

システム監査の目的を理解する

監査の目的は「内部統制」や「セキュリティリスクの検証」であることを覚える。

テクノロジ系(IT技術)

ITの技術的な知識に関する内容が出題されます。ITパスポート試験の約50%を占める分野で、試験の中心となる部分です。

基礎理論

基礎理論:2進数・16進数、情報の単位(ビット・バイト)、論理回路、データ圧縮、アルゴリズムの基本について学ぶ。

アルゴリズムとプログラミング:順次処理・分岐処理・繰り返し処理、流れ図(フローチャート)、プログラムの制御構造について学ぶ。

コンピュータシステム

コンピュータ構成要素:CPU、メモリ、ハードディスク、SSDなどのハードウェア構成を学ぶ。

システム構成要素:クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティング、仮想化技術の概要を理解する。

ソフトウェア:オペレーティングシステム(Windows、Linux)、アプリケーションソフトウェア、ミドルウェアの役割を学ぶ。

ハードウェア:入出力装置、ストレージ、ネットワーク機器、コンピュータの基本構造について学ぶ。

技術要素

情報デザイン:ユーザーインターフェース、アクセシビリティ、ヒューマンインタフェースデザインの考え方を理解する。

情報メディア:デジタル画像、音声、動画の圧縮技術やデータフォーマットを学ぶ。

データベース: データベース及びデータベース管理システム(DBMS:Database Management Syste
m)の意義,目的,考え方を理解する。

ネットワーク:LAN・WAN、TCP/IP、HTTP・HTTPS、Wi-Fi、VPN、ネットワーク機器(ルータ・スイッチ)について学ぶ。

セキュリティ:情報セキュリティの基本原則(機密性・完全性・可用性)、暗号技術(公開鍵暗号・共通鍵暗号)、認証技術(パスワード・多要素認証)、マルウェア(ウイルス・ワーム・トロイの木馬)、ファイアウォールの役割を理解する。

テクノロジ分野 試験対策

2進数や論理演算をしっかり練習する
2進数⇔10進数の変換
AND, OR, NOT, XOR の論理演算

ネットワークの基本を押さえる
IPアドレス(IPv4 / IPv6)、MACアドレスの違い
HTTPとHTTPSの違い、VPNの仕組み

アルゴリズム基礎の理解
フローチャートの読む練習を繰り返しましょう。

セキュリティ対策を暗記する

マルウェア(ウイルス・ワーム・トロイの木馬)の違いを覚える。

「公開鍵暗号」「共通鍵暗号」の特徴を比較して理解する。

ITパスポートに合格するメリット

ITの基礎知識を体系的に学べる

ITパスポートは、IT技術・経営戦略・マネジメントの基礎知識を幅広く学べる国家資格です。特に、ITに関する専門的な知識がない人でも、ビジネスで必要なITリテラシーを体系的に習得できるため、日常業務やキャリアアップに役立ちます。

就職・転職・昇進で有利になる

ITパスポートは国家資格なので、履歴書に記載でき、IT業界だけでなく一般企業でも評価される資格です。特に、事務職・営業職・管理職の人でも、ITの知識を持っていることがアピールポイントになります。また、企業によっては、昇進・昇格の要件にITパスポート取得を含めている場合もあるため、キャリアの選択肢が広がります。

IT関連の資格取得へのステップアップになる

ITパスポートは、基本情報技術者試験(FE)や応用情報技術者試験(AP)などの上位資格を目指す際の基礎固めとしても最適です。ITパスポートで学んだ知識をベースに、より専門的なITスキルを深めることができます。また、資格試験のCBT方式やIRT方式のスコア算出に慣れることもできるため、他の試験の対策にも役立ちます。

試験のお申込みの流れ

利用者IDの発行

ITパスポートを初めて受験する場合には、利用者IDの発行が必要となります。利用者IDの登録には、利用者IDと有効なメールアドレスを準備する必要があります。
※利用者ID登録後に受験申込をおこなわずに1年経過した場合、最後に受験申込した試験日から1年経過した場合、登録した利用者IDは無効となります。利用者IDが無効となった場合は、再度利用者IDを登録してください。

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利用者情報の登録

利用者IDの登録が完了後、自動で仮パスワードが付きのメールが送信されます。利用者IDと仮パスワードを使用し、マイページにログインをします。
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ログイン後受験申込の前に、ご自身の情報を登録する必要があります。
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受験申込

利用者情報登録が完了をしたら、受験申込に進みましょう!
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  • 地域の選択
    ITパスポートの試験は47都道府県で開催しています。
  • 会場・日程・時間の選択
    各会場実施日が異なりますのでご自身のスケジュールに合わせて、会場選びをしましょう!
  • アンケートへの回答
  • 申込内容の確認
  • 決済方法の選択
    決済は、クレジットカード・バウチャー決済・コンビニ決済が利用できます。

確認票のダウンロード

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